屋形船の基礎知識・「屋形船ってよく知らないんだけど……」という人に

居酒屋・レストラン・バーとはちがう、もうひとつの飲み会のカタチ……でもなんだかよくわからない、という人のために、まずはその基本的なところをQ&A風にご紹介しましょう。
 
Q.「クルージングと何がちがうの?」
A.ざっくり言って屋形船は「和」、クルージングは「洋」です。また、クルージングは「航行を楽しむ」のがメインですが、屋形船は「船の上で食事や宴会を楽しむ」のがメインです。クルージングは何日もかけて何カ国かの港に寄港していくものまで含まれますが、屋形船の舟遊びは数時間。花火大会など特別なものでもせいぜい5~6時間です。
 
Q.「トイレはあるの?」
A.あります。水洗トイレです。古い船だと和式のこともありますが、大部分は洋式で、温水洗浄便座タイプも多くなっています。ベビーベッドをそなえたトイレを用意している船もあります。
 
Q.「船酔いしそうだけど、だいじょうぶ?」
A.波の静かな内海である東京湾をゆっくり行きますので、あまり揺れません。「テーブルに置いたビール瓶が倒れることがない」といえばわかりやすいでしょうか。ということで、船酔いはしにくいでしょう。乗り物酔いしやすい人は、なるべく船体の中央に近い席にすわるといいです。どうしても心配ならば酔い止め薬を飲んでください。ただ、その場合はお酒がNGになってしまいますから、気をつけてください。
 
Q.「雨が降ったらどうするの?」
A.屋根があるから「屋形船」なんです。窓も気密性の高いサッシになっていますので、ふつうの雨や雪なら問題なく船内で過ごせます。もちろん暴風雨となりますと欠航になります。その場合は船宿から事前に連絡が来るでしょう。
 
Q.「冬は寒くないの?」
A.冷暖房完備ですので、真冬でも真夏でも船内は快適です。忘年会・新年会で利用する人もたくさんいます。ただ、屋根の上が展望デッキになっていますと、そこはさすがに暖房のない吹きさらしになりますので、寒いです。
 
Q.「沈まない?」
A.沈みません。ふつうは。
しかし、「乗り物」で商売をしている者にとって、「安全」は最優先の課題ですから、ここは少しくわしくお答えします。「安全対策」と「補償」という観点から書きます。
 
⑴.安全対策
 屋形船を運航している会社は、日常的に以下のような安全対策を行っています。
① 定期的な避難訓練
 緊急時に乗客を速やかに避難誘導できるよう、日頃から座礁や衝突を想定したシミュレーション訓練を行っています。
② すべての乗船スタッフに救命訓練
 乗船するすべてのスタッフに基本的な緊急救命措置の訓練を行っています。また、ほとんどの船にAED(自動体外式除細動器)を積んでいます。
③ 業務用無線
 船宿の事務所とすべての船を結ぶ業務用無線が用意されています。日常的な業務上のやりとりにももちろん使いますが、災害時など、携帯電話がつながりにくくなったような状況でも安定して通信が確保できます。
④ 防災ミーティング
 災害を想定した意見交換を行うミーティングも定期的に行っています。
 また、こうしたこと以前に、操船スタッフは「一船乗り」として緊急時の航路や行動を熟知しています。
 
⑵.事故にあった際の補償
 屋形船を運航している船宿会社は、ほとんど船客傷害賠償責任保険に加入しています。座礁や衝突など、航行中のすべての事故によるケガが保険で補償されます。
 総合賠償責任保険や生産物賠償責任保険、食品営業賠償共済に加入していれば、船内で提供された食べ物による食中毒も保険でカバーされます。
 
Q.「ひとりでも乗れるの?」
A.おおぜいの団体予約で貸切にするのではなく、少人数で乗り込むパターンを「乗り合い」と言います。多くの船宿で乗り合い船を出船していますが、数は限定的です。また多くの船宿は「2名様から」としており、ひとりでも乗れるという船宿はあまり多くありません。でもよく探せば見つかるでしょう。
 
Q.「東京にしかないの?」
A.全国的にみると、屋形船のおよそ9割が東京です。しかし東京湾以外にも広い範囲で屋形船は見られます。たとえば瀬戸内海、高知の四万十川、名古屋・堀川、神奈川の横浜や金沢八景でも見られますし、さらに、日田、木曽川、嵐山では鵜飼を見物できる屋形船も出ています。
 
Q.「どこから乗ればいいの?」
A.船宿にもよりますが、2、3カ所から5カ所以上の乗船場で乗ることができます。隅田川や荒川、旧江戸川を少しさかのぼったあたりに、公共の船着場や船宿が営んでいる桟橋があり、そうしたところから乗ります。ほとんどが鉄道の駅から徒歩でアプローチできます。
 
Q.「めちゃめちゃ朝早く出港とか?」
A.それは「釣り船」のお話ではないでしょうか。釣り船ですと、たしかに、朝まずめ狙いで早朝に出航するものもあります。しかし、屋形船は食事や宴会を楽しむための船ですから、早くても午前10時くらいからの出航になります。夜は8時くらいの出航が最終ということが多くなっています。
 
Q.「ずっと船に乗っていて、飽きない?」
A.まずは食事や宴会を楽しんでいただきます。食事以外の時間も、屋形船は東京スカイツリー、お台場、レインボーブリッジ、隅田川、東京ゲートブリッジなど、見ごたえのある観光名所を巡りますので、お楽しみいただけるでしょう。ふだんから東京に慣れている人でも、船のうえから東京の街並みを眺めると、またひと味変わった感慨があると思います。
 
Q.「どのくらいの時間、乗ってるの?」
A.ほとんどの舟遊びは2時間30分くらいです。花火や花見などイベントが関係するものになると5~6時間かかるものもありますが、長くてもせいぜいそのくらいです。
 
Q.「カラオケはできるの?」
A.ほとんどの場合、できます。というよりも、船の上で宴会をし、歌舞音曲を楽しむことこそが舟遊びの伝統、本来の姿です。屋形船にとって得意分野と言っても過言ではありません。カラオケどころか、「船上ライブ」ですら、できないことはありません。ただし、それは貸切でのこと。乗り合いでのカラオケ利用は制限されることが多いです。
 
Q.「釣りはできるの?」
A.現在の屋形船は、もともと釣り船業を営んでいた船宿が始め、広がったものです。ですから、ハゼ釣りなど簡単な釣りが楽しめる屋形船があります。しかし、あまりメジャーではありません。屋形船は、基本的に食事や宴会を楽しむものです。お酒が入ることも多いため、船端から海・川へ転落することのないよう、船端に近づけないように設計されていることが多いのです。
 
Q.「何が食べられるの?」
A.天ぷらやお刺身を中心とした和食が主流です。先付け、お吸い物から始まる会席コース料理スタイルや、舟盛りのお刺身や大皿の天ぷらを取り分けて食べるスタイル、はたまた冬は鍋料理など、さまざまです。最近は各船宿もそれぞれに努力・くふうして、和食のほかフレンチやイタリアンも手がけるところが出てきました。また、変わったところでは船上バーベキューやもんじゃ焼きパーティーなんていうのもあります。客が火を使う場合は船着場に停泊しなければならないところが残念なのですが、楽しければいいでしょう。
 
Q.
「予約しないと乗れないの?」
A.少人数の「乗り合い」も含めて、屋形船は基本、「要予約」です。おおきなイベントもなく、週末でもない平日でも、「予約が取りやすい」ことはあっても「予約が要らない」ことはありません。
 
Q.「お高いんじゃありません?」
A.安くはありません。(笑) ひとり1万円は最低でもかかります。
 しかし、料理の質や楽しさ、飲み放題プランだとお酒の持ち込みが自由にできることなどを考え合わせると、むしろとても安いと言えます。


屋形船を東京で貸切・乗合